AOI通信 2011年9月号
今月のテーマは 「動悸・息切れ」
動悸が激しい、息切れがする、この2つの症状は似通っていますが、同じものではありません。
息切れは肺の酸欠で起こり、動悸は心臓の働きに異常があったストレスで起こります。 息切れの特効のツボは、背中の第3胸椎棘突起下から左右外側へ指2本分に位置する「肺兪」で 呼吸器系の働きを盛んにします。その真下、第5胸椎棘突起下から左右外側へ指2本分に位置する「心兪」は 循環器系の機能を高め、鎖骨の外側のくぼみから指1本分下に位置する「中府」と前腕の掌側で、肘から手首まで3分の1降りた、 やや親指よりに位置する「孔最」は息切れの名穴です。動悸のツボは、背中にある第5胸椎棘突起下から左右外側へ指2本分に位置する「心兪」のほか、 手の甲側の親指と人差し指の間のくぼみに位置する「合谷」と内くるぶしから上へ指4本分に位置する「三陰交」を補助穴として押さえておけば効果があるでしょう。
不安や怒り、イライラなどが続いた際に起きるのが動悸・息切れ。
いずれにせよ、精神的な疲れが最大の「敵」なのでは?
引用 セイリン(株)「鍼のはなし 家庭で簡単ツボ療法」より引用・抜粋
葛根・くず粉
夏の終わり頃、周りに甘い香りを漂わせ、葉陰から紅紫色の美しい花をちらりと見せるのは、秋の七草の一つ、葛の花です。 桔梗・女郎花・尾花・撫子・藤袴・萩と並んで、秋を告げる代表的な野草ですが、他の草花に比べて、少々大型の植物です。
きれいな花は、二日酔いの妙薬として用いられ、地下にできる太ももほどの根茎からは、“くず粉”が採れます。 この良質のくず粉は、薬用に、栄養に、料理や菓子の原料にと、無くてはならない貴重な珍味の自然食です。
葛澱粉には、ダイジン・カッコネンなど数種の成分が含有されていて、風邪の初期の発汗・解熱・頭痛・解毒や、特に肩こり・首筋のこり、暑気あたりに優れた効果をもっています。
例えば、おろし生姜を加えたとろ味のあるくず湯は、体力増強・風邪・肩こりの特攻薬であり、葛きりに黒蜜をかけた涼しげなお菓子も、夏バテを防ぎ、肩こりを除き、体調を整える養生薬としての一級品です。
漢方薬として有名な葛根湯もこの薬能をもとに、生姜や芍薬など7種を加味した名処方です。
また、ストレス・疲労の肩こりにも気力を増し、元気を出す漢方として広く用いられています。
中国の古い教えに「伝承には長い歴史と経験を経て濾過されてきた教訓がある」とあります。
葛をあらためて見直してやりましょう。
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